[ウロミニくん]稜線を歩く-003
- あおひこ
- 2022年7月10日
- 読了時間: 2分
2012/11/27
外界から遮断された5S(血液内科/無菌室)の環境は、日常生活から離脱し、肉体を新たに構築する旅に出たのだ、というイメージを抱かせる。
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4人部屋にある共同トイレに設置された『uro・mini3200S』なるマシーン(不二工学機械株式会社)。採取した患者ごとの尿を回収し、時間と量を記録していく。割り振られた自分の番号をモニターで選択すると自動開閉口が開く。
採尿した専用ビーカーをセットすれば、「タタッ、タッタ」とばかりに威勢よく、回収した尿量・比重を画面に表示し、洗浄したビーカーを射出する。
日中の受付嬢(音声ガイド)はよくシャベるが、深夜も黙々と業務をこなすウロミニくんは寡黙。
刺激に乏しく単調な入院生活。生来のギャンブル好き、「尿量の3桁の数字を予想する」という勝負を、その日の夜からウロミニくんに挑むようになった。
ルールは、ビーカーの目盛りを読まない/持った重さで量らない/回収口が閉じるまでに予想数値を宣言すること。
膀胱に溜まった量、排尿した量に対する感覚を研ぎ澄ますのだが、さすがに下一桁の数字に関しては直感に頼るしかない。
毎日5〜6回、多いときは10回以上の勝負を挑むことになるが、約1カ月の間にピタリ賞は1度だけ。
「それで何を得たか?」って、 回収装置がない自宅でも、毎回の排尿量(50cc単位で)を把握できるようになった。
それと......トイレでの話し相手ができた。 (ゾロ目や下一桁1cc違いを出してくる。ウロミニくん、結構お茶目やん)
→004に続く

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