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[裏街道]稜線を歩く-005

2012/11/29

裏の世界(西洋医学外)に生きてきたのは、なにも医療に限ったことではなく、職業や仕事形態も、決して表街道を歩いてきたとは言い難い。

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サラリーやボーナスをもらったことはなく、フリーランスなので最初の稼ぎから源泉徴収の原稿料。出版業界という変わり種が多く集まる業界で、書籍や雑誌のデザインに携わってき た。扱うジャンルもメジャーではなく、カウンターカルチャー的な題材が多かった。

必然的にファッションも、ネクタイやスーツとは無縁の、ラフなアウトドア系か花柄シャツ にパナマ帽、豊かなあごヒゲといったスタイルを通してきた。

ところが無菌室では、ヒゲは菌を培養する、フケツの温床でしかない。名残惜しいが、30年間近く慣れ親しんできた顔を描き変えなければならない。

持ち込んだ4枚刃のヒゲ剃りを使って、お風呂場でキレイさっぱり剃り落とした。

鏡に映る“顔”は若返ったような、ニヤケた青い面をしていて、気恥ずかしい(ほとんどパンツを脱いで人前にでるような)。

右アゴに1点だけ、剃り負けした赤い点があり、別に気にしていなかったが、ナースセンターの看護師さんたちは大騒ぎ。

それもそのハズ、ここでの最大の御法度は、「出血」と「転倒」。免疫・抵抗力や血小板が薬の作用によって低下した際、菌に感染したり、怪我して出血したりしないように、入院中は普段から衛生管理や生活動作に気をつけるよう徹底的に指導され、習慣化するまで訓練を積んでいく。

これまたあとの祭りだが、爪切りを含む必要な刃物類は、ナースセンターに預けておくこと になっている。そもそも、ヒゲ剃りは持ち込み不可、電動シェーバーしか許されていない。

衛生管理に関する注意書きも渡されてはいたが、ERからそのまま5Sに上がり、自ら入院準備をした訳ではない。習慣化するまでに衛生感覚と落ち着いた動作を身につけるのが、今後の課題だ。

           →006に続く


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