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[二度死ぬ]stylesense010

更新日:2022年6月25日

映画007シリーズ5作目のタイトルみたいだが、イアン・フレミングの原作では[人は二度しか生きることがない、この世に生を受けた時、そして死に臨む時]ということなので、この10年の間に二度も死に臨んだという意味では[四度死ぬ]ということになるのかな。

一度目は、2012年9月の始め。夏風邪が長引き、2週間ほどして治ったかと思う間もなく、空咳をする度に胸の奥に微かな痛みを感じた。時限爆弾が起動したような、日常から引き剥がされる時が近づいているような漠然とした不安を抱いた。

元来、西洋医学を信じてはいないので、度重なる医師の忠告(血液検査に異常数値が見られるので検査・入院が必要)にも耳を貸さず、30年来の友人が開いている整体道場に通い、偏りのある身体を動きながら整えようとしていた。

最終的には3カ月後の11月終わり、半分意識が飛び始めたワタシを見るに見兼ねた娘が救急車を呼んだ。

そこから222日間の闘病が始まった。…詳しくは別枠予定の[稜線を歩く]にて。

二度目は、2021年9月半ば。単なる夏バテだろうと思っていたが寝付けない夜が続き、ついにまったく眠ることができなくなった。3日目となる月曜日の朝、タクシーが手配できず、市バスと徒歩でERに入り、検査を受けて即入院となった。その前年、コロナ禍で肺水腫となって以後、さらに心臓が弱っていたようで、50日間におよぶ入院を経て、自宅に戻るも絶対安静の状態が冬のあいだ続いた。

8カ月経った今では、なんとか週2日事務職に通い、1日は在宅勤務をしている。歩くことは普通にできるが、気温差や激しい動きが続くと頻脈となり、すぐには戻らないこともある。

家族や医療現場の人々の支え、友人や知人の祈りのお陰でなんとか生還できたが、サバイブする(生き残る)度にそれ以前の記憶は、まるで前世のごとく遠のいて行く。

変わったのは、記憶のことだけではない。

死の淵を覗く度に動物や植物への愛おしさが強くなるようだ。

気がつくと、29年間を共に暮らすサシオくん(ミシシッピアカミミガメ♂)に語りかけたり、手の甲に止まった蚊と「血を吸ってもいいから痒い成分は残さない」という契約を結んだりしている。

他人に対しても、外面や言動ではなく、そのヒトの内面に関心が移っているようだ。


今回も読んでくれてありがとう。

コメントや質問をいただけるとなお嬉しい。

ではまた(^.^)b



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